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我は蜀にあり!〜成都旅行記・その2〜

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8月31日(土)  都江堰ってなぁに?
 
旅も、3日目となると少し疲れが出てきます。朝から身体も重く、胃の調子も良くないので、朝食(バイキング)は軽くして、8時半にロビーに行きました。
今日はオプショナルツアーの日です。カップルの二人は「都江堰と臥竜パンダセンター」、私は「都江堰と青城山」と、都江堰までは同じですが、そこからは別行動になります。
今日の私についてくれるガイドさんは、ヒョウさんという方で、チベット方面への仏像ツアーが専門なのだそうです。
私が奈良から来たと言うと、奈良は何度も行ったことがあり好きです、とのこと!
唐招提寺や薬師寺を見た時「ここは奈良じゃない、まるで洛陽だ」と思ったそうです。
確かに大和には、古代に中国など大陸文化が流入した時の寺院が、今もあまり変わらない姿で存在しています。ちょっと嬉しくなった瞬間でした。

今日は昨年購入されたという新しいセダン車です。土曜日ですが、市内の渋滞は相変わらず酷く、市の郊外に出るだけでも時間がかかります。
途中、ガイドさんは運転手さんと中国語で話を始めたので、のんびり農村風景を見ていました。
このあたりは稲作地帯ですが、ほとんどの稲は、重く頭を垂れ、すでに稲刈りしているところもあります。道路に稲をしいて脱穀作業をしているのは、広大な中国らしい風景です。
途中で、練り物のような行列とすれ違いました。
「見ましたか?あれは誰か死んだんです」「え?お葬式?」「そうです」
張芸謀の映画「初恋の来た道」で、遺体を故郷に運ぶ葬列の話がありましたが、まさにそれでした。
ようやく高速道路に入って、わずかな時間で都江堰に到着。
昔は、宿泊施設も何もない町だったそうですが、今は、町の入口に李冰・李二郎親子の銅像モニュメントがどど〜んと立っている観光地になっています。さすがは、世界遺産〜。

さて、道路の脇には「秦堰楼」という入口があり、この前にて車を下ります。ここで入場券を買って入り、階段をずんずん下りると、そこが見晴台でした。
都江堰の全景が一目で見渡せます。
ここでガイドのヒョウさんが説明をしてくれました。今日は、成都には珍しい快晴で、対岸の山まではっきり見えるのは珍しいそうです。
ここで質問して、ようやく「都江堰とは何か?」が理解できたのでした〜〜(笑)

都江堰とは、岷江の水害(氾濫)で苦しむ民のために作られた水利施設です。
ただの水利施設ではなく、川の真ん中に中州を作り、岷江を外江・内江の2つに分けたものです。
外江は従来通り長江へ合流させ、内江は灌漑用水・生活用水として四川盆地へ流し込みます。水流は、外江に6割、内江に4割。水量が増えて内江に流入量が増えすぎた時のため、何カ所か戻り口(飛沙堰など)が作られています。
地図を見れば、都江堰から川の流れが放射状になって、四川盆地の全土に広がっているのがわかります。これによって、四川盆地は「天府の国」と呼ばれるほど、農作物の実り豊かな地域になったとのことで、もちろん今でも稼働中。秦の時代から二千年以上もその恩恵をこうむっているのです。なんという凄いスケールなのか…。
この水利工事を始めたのが、秦の時代に蜀の群守だった李冰です。工事はさらに息子の李二郎に引き継がれ、その死後数十年たって完成したそうです。
宮城谷昌光氏の「奇貨居くべし」では終盤に、李冰のこの水利事業に衝撃を受け、鄭国渠を計画する鄭国の話が描かれています。
この時代にこれだけの物を作ろう、という考えも凄いが、実際に作ってしまうというのも凄い。さらに、これが今でも生きた施設だというのが、また凄いです。
最初は竹籠に石を積めたものでダムを造ったそうですが、現在はコンクリート製に変わっています。それでも、水量の微調整が難しく、ちょろちょろ自然に水が浸みだしてくる竹籠&石製の方が機能的にはよかったらしいです(笑)

なおも川に向かって階段を下りるうちに「二王廟」の裏口に到着。
二王とはこの都江堰を作った李冰・李二郎親子のことで、もちろん王ではなかったのですが、崇拝されるうちに名称がオーバーになってくるのが偉人の常ですね。
息子の李二郎の方は、神格化されて、神族?(半神半人?詳しくないのでごめんなさい)二郎真君のモデル…なのでしたっけ。

本堂の裏に、細長い壁と鉄格子に囲まれた一画がありました。そこには、何やら古げな文物が置かれています。ガイドさん曰く、「別の場所に宝物庫があるけど、そこは中身は空で、こっちが本当の宝物です」とのことでした。
雨の文字が沢山入った不思議な石碑があったので、鉄格子の隙間から写真を撮りました。
ここは寺院ではなく道観(道教の寺院)にあたり、文化大革命の時に他の宗教施設と同様、本堂以外はみんな破壊されてしまったそうです。
現在の建物は再建されたものだそうです。
本堂の中には李冰達の像があったのですが、信仰の対象なので、と言われたので撮影はしませんでした。
裏から入って正面から出るのは逆路なのですが、この場合仕方ありません。正面入口を抜けていよいよ川岸の方へやってきました。

川岸から中州へは、細長い吊り橋があります。別名を「夫妻橋」「安瀾索橋」とも言い、この橋の袂で李冰の妻が夫が仕事するのを見守ったという逸話が残っているそうです。
金属を使っていないというこの橋は、ゴムが使われているそうです。
吊り橋から下りて、地面がまだ揺れているような気がしながら、中州の先端「魚嘴」へ。上から見ると魚の口の形、というのですが、う〜〜〜ん?
ここから見ると、分流する地点で川が渦を巻いているのが見えます。
ここはかなり川底を深く掘り下げ、内江側の川底に傾斜をつけることによって、水を流しているそうです。内江は数年に一度、川底の土砂を掃除して流しやすくしているそうです。

中州をずっと南下して(徒歩約15分)橋を渡り、「飛沙堰」を見学。ここは、内江から外江に通じる伏流水路です。増水時に内江に多量の水が流れ込むと再び水害が起こりかねないため、川底の高い逃げ道を作って余分は外江へ戻す仕組みになっているのです。
もっとも、今年の成都は雨が少ないとのことで、この伏流水路も干上がっていました。
都江堰の見学は上流側だけだったのですが、メインの施設はおおむね見終わったというところでお昼の12時、この場所を後にしました。

青城山は別天地

昼食は、近くのホテル内のレストランでした。見れば大変豪華なホテルなのですが、入口では二人のガイドさんは店とすったもんだもめたあげく、ようやく席に着きました。
ちょっと成金っぽいかな…。旅行会社との契約問題だったのかな?
さてお料理ですが、色鮮やかな紫色の空心菜の炒め物が出ました。味がさっぱりしているところからみると、紫蘇を使ってあるようです。大変美味でした。
都江堰で取れた白身魚が出て、あっさりして美味でした。それとベーコン料理が出ました。どうもこのベーコン、ここ成都ではかなりおめでたい席などで使われるらしく、成都の人は大好物だとのことでした。
それから謎の煮込み料理。味噌味の煮込みに肉やら獅子唐やらに混じって謎のゼラチン系のものが入っているのですが、何だかわかりません。ぶよぶよと弾力のある食感は豚耳っぽいかなぁ・・・。特に味はないのですが。また、黄色い芋っぽいのが入っていたので食べると、栗でした。栗の味噌煮込みなんて日本では見たことないですね。でも美味しかったです。
昼食が終わると、いよいよ別行動です。
カップルの二人は、劉さんと臥龍のパンダ研究センターへ向かうのですが、ここから片道2時間半かかるとのこと!パンダの生息地に近い、山のふもとにあるようです。
二人はお疲れのようで、着くまで寝ていよう〜とのことでした。
というわけで、ホテルを出て都江堰の入口のところで、車は別れました。
私の目的地・青城山へは、20分ほどで到着しました。

青城山は、都江堰とセットで世界遺産に登録されており、観光客が大変多いところです。
青城山とは、中国で最も有名な道教の名山で、道教発祥の地、と言われています。
中国全土の道観はここを祖山としていて、五斗米道の創立者・張陵(張道陵)が、尊師として祀られています。
この門が、見事なのですよね〜〜。横にある世界遺産のシンボルが立派です。
入口の門をくぐると、そこは山の世界。気温がぐっと下がります。山道は涼しくて快適!
登るコースはきちんと整えられていて、たくさんの人が歩いています。スカートにペタペタサンダルのお姉さんもいるなぁ…。歩きにくいでしょ?
また家族連れも多くて、お祖母さんを引っ張って休み休み行く家族もいました。
ヒョウさんの言うことには、ここで修行している道師のお爺さんの方がずっと元気だとか。足腰の鍛錬が違うのですね〜〜。
この青城山、前山と後山がありますが、今回登ったのは前山です。山登りコースですが、徒歩でひたすら歩くコースと、途中の月城湖のほとりから「索」に乗るコースがあります。
私は時間的にも「索」に乗るため、月城湖で対岸に渡る船に乗り込んだのですが、それは、お客さんがいっぱいになるまで発進しないのでした。
ヒョウさん曰く、「昔はこんな湖はなかった!これは儲けるために作った人造湖です!」
確かに、船の料金を払わなければ、索乗り場まで行けないようになっている…。なるほど〜〜。

というわけで、対岸に渡ると「索」乗り場です。
往復50元という庶民はためらう高価格!
ロープウェイと聞いていたのですが、見てちょっと驚きました。そう、これはただのリフトです。ちょうどスキーのリフト、と言えばいいでしょうか。屋根も無ければ下に網もない〜ただのブランコの椅子に腰かけ、山の斜面を1500メートルも15分もかけて登るのです…。
じ、地面が遠い〜〜〜っ!最後の1/4は前のブランコが見えないほど目もくらむような急上り〜〜!!落ちたらどうするんだ??事故予防対策はないの??
あ、絶壁だ〜〜!またその絶壁になぜか仏像が彫られている〜〜!!(いったいどうやって彫ったのか、古人の苦労が忍ばれます)
と、あんな怖い思いしたのは久しぶりでした。ちょっと高所恐怖症の方にはお勧めしません(断言)。
しかし、お客さんは結構慣れてるのですね〜〜。乗りながらバナナ食べてる子どもや、両手離して大笑いしている青年、日傘さしながら乗ってるお姉ちゃんまで…。
私が変なのかな??でも、天気が悪くなると中止になる乗り物っていったい…(汗)


おまけ 中国西南航空の旅客機です。風洪さんに関空で撮っていただいたものです♪西南航空機の写真です